クマゼミ 試験対策プリント(限定公開)
投稿者:池畠 悠 所属塾:みやうち塾 閲覧数:287
投稿日時:2022年8月30日15:59
最終閲覧日時:2026年3月11日18:59
みやうち塾
こだなか塾
宮内中、西中原中2年生の国語は、クマゼミが範囲です。
ここは、実は難しい文章です。
しっかり読まないと内容もなかなかつかめない。
最後、もう一度、覚えるまで読みましょう。
このプリントを渡すので最終確認をお願いします。
研究のきっかけ
一九六〇年代、大阪市に隣接する豊中市で少年時代を過ごした私にとって、クマゼミは「セミの王様」だった。全長六、七センチメートルもある、(重厚・濃厚・深淵)で黒光りのする体。羽化したての若い成虫には、金色の毛が輝く。何よりも数が少なく、めったに捕ることができなかった。
( A )、いったん地元を離れ、一九八四年に再び戻ってきた私は、クマゼミの声が以前よりよく聞こえることに気づいた。職場のある大阪市内はさらに顕著で、ほとんどクマゼミの声しか聞こえないほどになっていた。不思議に思った私は、当時学生だった森山実さんと、二〇〇三年から六年間に及ぶ調査を行った。
図1に、二〇〇八年に大阪府内で行った抜け殻調査の結果を示す。大阪市内の公園や大学では、やはり( 名詞 )が圧倒的に多く、かつてはよく見られたアブラゼミは二割以下に、ニイニイゼミやツクツクボウシはいなくなっていた。いっぽう、市外の緑地や森林には、依然としてアブラゼミが多く、山の上には、さらに(多様な・強靭な・豪華な)種類のセミが生息していることがわかった。
大阪市内では、なぜクマゼミの占める割合が、これほど高くなったのだろうか。一九六〇年代からの主な変化として挙げられるのが、この地域の都市化、気温上昇、湿度の低下である。急速な( 3文字 )にともない、植物や土で覆われた地面は(舗装・修繕・改良)されてビルや道路になった。都市化はヒートアイランド現象を引き起こす。一九六〇年からの五十年間で大阪市の年平均気温は約一度上昇し、湿度は十パーセント近く低下した。( 接 )、現在の大阪市内は、以前より暑く、乾燥している。クマゼミは、もともと西日本の温暖な地域に多く生息し、( 2文字 )には強いと考えられる。ヒートアイランド現象による環境変化が有利に働いたのではないだろうか。私たちは、この点について(検証・思案・考慮)していくことにした。
[前提]クマゼミの一生と、環境の影響を受ける時期
気温や湿度がクマゼミに与える影響を考えるために、まずは、その一生を確認しておこう(図2)。
問 ア・イ・ウ・エを並び替えてください。
ア、地上に出て成虫になる段階:幼虫は夏に地上に出て(羽化・孵化・成長)し、産卵して一生を終える。
イ、卵の段階:クマゼミは、夏に枯れ枝に産卵する。卵はやがて休眠に入り、そのまま地上で冬を越す。
ウ、(羽化・孵化・産卵)して土に潜る段階:休眠を終えた卵は、春、気温が上がると体を作り始め、梅雨から夏にかけて孵化する。雨の日に孵化し、幼虫はすぐ土に潜る。
エ、幼虫として地中で過ごす段階:植物の根から栄養を取り、七年ほどかけて成長する。
( )に当てはまる記号を上から選べ。
この中で、気温や湿度の影響を受けやすいのは、地上で外気にさらされる( 3つ )の段階であると推定できる。特に、小さく未熟な状態である( と )は危険だ。( )の卵は野外で冬を越すため、厳しい寒さに耐える必要がある。また、( )の(孵化・羽化・産卵)したばかりの幼虫は弱く、一時間以内に地中に潜らないと、アリに襲われたり乾燥したりして死んでしまう。そのときの環境に、(生活・生存・成長)が(上下・左右・凹凸)されるおそれがあるのだ。
[仮説1]冬の寒さの緩和
私たちはまず、地上で冬を越す「卵の段階」に注目し、次のような仮説を立てた。
[仮説1]クマゼミの卵は寒さに(弱く・強く・鈍感で)、昔の大阪では冬を越せるものが少なかった。しかし、気温 (上昇・下降)で寒さが(和らぎ・強まり)、越冬できる卵が増えた。
この仮説を検証するために、私たちはクマゼミの卵がどれぐらいの(高温・低温・乾燥)に耐えられるかを実験してみた。その結果、なんと氷点下二十一度に一日置いても、大部分が生き延びることがわかった(図3)。
次に、長く続く寒さへの(感性・耐性・反応)を調べた。観測史上、大阪市の一か月の平均気温が零度を下回ったことはない。( 接 )、それより低い氷点下五度に三十日間置いてみたが、特に影響は見られなかった(図4)。
( 接 )、これらは全て実験室で得た結果だ。気温や湿度が変動する野外の冬に耐えられる(保証・可能性・信念)はない。そこで、二〇〇五年九月、私たちはクマゼミの卵を大阪市および大阪市より気温の(高い・低い)東大阪市の枚岡山に置き、一年後に(羽化・孵化・産卵)した数を調べた。その結果、より(暑い・寒い)枚岡山でも(孵化・羽化・産卵)率は下がらなかった(図5)。十二月から二月までの大阪市の平均気温は五・五度、枚岡山は(問題の都合上省略)度。枚岡山は一九六〇年代の大阪市内より少し(暑い・寒い)にもかかわらず、クマゼミの卵は問題なく越冬することができた。
これらの結果は、クマゼミの卵が(暑さ・寒さ・乾燥)に強く、かつての大阪でも十分越冬できたことを示している。つまり、冬の寒さの(緩和・厳格化・強まり)はクマゼミ増加の(結果・原因・おかげ)ではない。仮説が明確に否定されたことで可能性が一つ(証明・排除・強化)され、その分、原因を絞り込むことができた。
[仮説2]気温上昇による孵化の時期の変化
私たちは、気温上昇が及ぼす他の影響を検討するために「②(産卵・孵化・羽化)して土に潜る段階」に着目した。クマゼミに限らず卵で越冬するセミは、春、気温が上がると体を作り始め、一、二か月で( )できる状態になる。( 接 )、気温の上がった近年のほうが早く( )できる状態になる。
重要なのは、セミの卵がこの状態で雨を待つことだ。生まれたばかりの幼虫は、小さくて体が軟らかく、前述のとおり一時間以内に地中に潜らないと、アリに襲われたり乾燥したりして死んでしまう。( 接 )、土がぬかるんで軟らかくなる雨の日を狙って( )するのだ。
確実に雨を捉えるために、セミの卵は高い湿度を(知覚・感知・反応)して孵化する。孵化には雨が(必要・必須・重要)であり、そもそも雨が降らないと、孵化できない(状態・仕組み・理屈)になっているのだ。これは、孵化の時期が雨の多い梅雨に当たれば、無事に孵化できる確率が高まることを(予測する・意味する・決定づける)。気温上昇によりセミの孵化は早まっている。( 接 )気象庁の記録によると、過去五十年間、梅雨明けの時期は、ほとんど変わっていない。以上のことから、私たちは、次のような仮説を立てた。
[仮説2]気温上昇で孵化が( )、梅雨に( )ことで、孵化できる卵が(減少した・微増した・増加した)。
私たちは二〇〇八年、クマゼミを含む四種一のセミに産卵させ、卵を野外に置いて観察し一た。図6を見てほしい。他のセミは、孵化がほぼ梅雨の期間に(挟まって・収まって・被って)いるのに対し、孵化が遅いクマゼミだけは、孵化する時期の(前半・後半・半ば)に梅雨が明けてしまった。今より気温が低かった一九六〇年代には、梅雨明け後に(しだいに・ようやく・突然)孵化の準備が整い、そのまま雨に遭えずに(孵化して・死んで・増加して)いく卵がさらに多かったことになる。
つまり、気温上昇で孵化が早まり、梅雨の時期と重なったことは、クマゼミ増加の(結果・原因・現象)の一つと考えられる。ただ、梅雨の期間に孵化が終わる点では、他のセミのほうが(依然・歴然・判然)として有利だ。クマゼミが増えた(結果・原因・現象)ではあっても、クマゼミだけが増えた(結果・原因・現象)とはいえない。
[仮説3]ヒートアイランド現象による乾燥と地表の整備による土の硬化
大阪市内では、なぜクマゼミの占める割合が、(そこまで・これほど・あれだけ)高くなったのか。私たちは、幼虫が「②孵化して土に潜る段階」に注目した。[仮説2]でも述べたとおり、雨が降ると土がぬかるんで軟らかくなり、幼虫が地面に潜りやすくなる。( 接 )、都市化の進んだ大阪市内では、地表の大半が(帆走・舗装・塗装)されており、セミは地面に潜れない。( 接 )、公園などに残された土も、人の足で踏み固められ、ヒートアイランド現象の影響で乾燥しきっている。雨が降っても、野原や森林の土のように、(固くなる・ぬかるむ・湿る)ことはない。
私たちは、図1に示した抜け殻調査をする際に、それらの地点の土の硬さも(測定・判定・予測)していた。( 接 )、クマゼミが多い市内の公園は土が硬く、クマゼミが少ない市外の緑地や森林は土が軟らかいことがわかった。私たちは、この(可能性・違い・共通点)に注目し、次のような仮説を立てた。
[仮説3]クマゼミの幼虫は土を掘る力が( )、ヒートアイランド現象による乾燥と地表の整備によって( )した地面にも( )ことができる。
この仮説を(実現・検証・判定)するために、私たちは、セミの幼虫が土に潜る能力を実験で(対照・比較・判定)した。( 接 )、四段階の硬さに押し固めた土を用意して、そこに孵化したばかりの幼虫を入れた。( 接 )、一時間以内に潜れるかどうかを観察した。結果が図7である。クマゼミは他のセミと比べ、硬い土に潜る能力が(爆発的・圧倒的・象徴的)に高かった。乾燥と地表整備で、他のセミが潜れなくなるほど硬くなった地面にも、クマゼミだけは潜ることができる。これが、大阪市内でクマゼミの占める(数・割合・可能性)が高まった原因と考えられる。
まとめ
以上のことから、大阪市内でクマゼミの占める割合が高まった(背景・影響・結果)には、都市部におけるヒートアイランド現象の影響があることが明らかになった。ただし、( )は関係がなかった。私たちの検証の範囲で(関連・接点・分別)が認められるのは、気温上昇で孵化の準備が早まり、梅雨と重なってクマゼミの( )率が向上したこと、そして、ヒートアイランド現象による乾燥や地表整備で硬化した都市部の土に潜る能力が他のセミと比べて圧倒的に高かったことの二点である。
環境の変化と、生物の数や分布の変化は、簡単に(理屈・関連・片)づけて語られることが多い。( 接 )、私たちがクマゼミについてこの結論を得るまでには、何年もの間、実験や観察を重ね必要があった。物事の原因を追究するには、世間一般にいわれていることをうのみにするのではなく、(神秘的・科学的・自然的)な根拠を一歩一歩積み上げて(挑む・臨む・戦う)姿勢が大切である。